裕福な人の成功の秘訣
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「データを集めるってことは大事やで。
だってそれで自分が良い買い物をしているかどうか、いつもチェックできるってことやし。
それができなきゃ進歩もないし倹約もできない。
具体的な数字なら言い訳もできないし」。
「それは確かにそうやけど。
でもそんなにしてこの人、よくまあ欲求不満になんないわねぇ。
あたしがそんな細かいこと考えだしたら、あっというまに胃に穴あいちゃうのに」。
「だからボクが関心しているのはそこのところなんよ。
このヒトがなぜ凄いかって言うと、実は彼女も彼女の家族も、誰もちっとも我慢なんかしていないっていうことなんだよ。
お金を貯めるために欲しいものを我慢したり、生活を削ったりしているわけじゃなくて、ただ情報を整理して他人より安く買っているっていうだけ。
豊かな生活に必要な消費財を常に家にひとそろい以上キープして、余裕がなくなった分を買い足しているだけ。
そして競馬や競輪のようにいつ何が安くなるかっていうことを予想して、それに賭けてるわけだからこれはゲームのようなものだし、そのゲームに勝てば浮いたお金で、また何か買うこともできるから賞金だってつく。
充分食えて充分買い物ができたらストレスなんかたまらんやろ?」。
倹約やダイエットがなかなか成功しない最大の理由は何かというと、それは『欲望を抑えることに失敗するから』なのである。
買いたいものを買わずにガマンする、食べたいものを食べずにガマンする。
けれどこれらの欲望は本能的なものだから、よっぽどの事がない限りまず抑えることができない。
それを無理矢理抑えて我慢するようなことをやってしまうから、抑えられた欲望は強く押し縮められたバネのようになって常に精神を圧迫する。
そうしてそういった欲望のポテンシャル・エネルギー(潜在的力の蓄積)が、精神とか心とか肉体といったものの抑えをいつしか押し戻し、そして何日後か何週間後かにはリバウンドしてそれを失敗させる。
だから机の上でどんなに精密に計画を立てて、どんなに厳しい態度や精神で臨んだとしても、欲望を抑えるような方法をとるなら、必ず失敗することになる。
いずれは何らかのキッカケでその欲望を押しとどめていた堤防が崩れ、そして以前よりさらに悪い結果を引き起こしたりする。
だから倹約やダイエットというのは難しいのである。
そしてだからボクはこのテレビで紹介された主婦のように、毎日のほんのちょっとした研究で欲望を抑えることなく、出費を抑えるやり方に感動した。
最初から無理をせずそして量を減らしたり、ムダでないムダを省かずに楽しみながら、お金だけ節約する方法に感心したのだ。
それは激しく厳しい修行や苦行を繰り返し、幾多の苦難を経ても悟りを開けなかったシャカムニが、菩提樹の元で通りががった乙女からミルクを分けてもらって、直ちに悟ったような話である。
この主婦は知恵を用いて苦行を避け、豊かさを減らさずに倹約して成功した。
「欲望を否定せず必需品をケチらず、豊かさを維持したまま知恵を用いて倹約する」それはどうやら、ボクの求める裕福や豊かさにつながる重要な鍵であるらしかった。
(第5章・おわり)