ガラクタは家庭をも破壊する
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では貧乏人はどうすれば、ガラクタをつかまなくてすむようになるのか。
同じビデオを
二度と借りずにすむ方法なら簡単である。
手帳かなにかに今までに借りたソフトのタイトル名を全部書き出して、そのメモを見ながら重複していないか確かめてビデオを借りればいい。
そうすれば確実に解決する。
こうすれば間違いなく
この問題が解決できるということは誰にでもわかる。
これはつまり例の「買い物上手な主婦」のやり方と同じである。
ただこれがそのまま
貧乏人がガラクタばかりつかんでしまう問題の
解決策として通用するかと言えば、コトはそれほど単純ではない。
と言うのもビデオの場合はアタリハズレがハッキリしていて、どれがアタリでどれがハズレだか、だいたいハッキリするからである。
そしてまた他人がどうこう言おうと、そのアタリハズレは本人的な効用(満足度)だけで
判断してよいものだからである。
他人は他人、自分は自分。
支障はあまりない。
それによる損失だって大した金額にはならない。
しかし他のガラクタをつかむ場合はそうはいかない。
というのもガラクタというのはたいてい、使用価値がないからである。
使えないからガラクタなのであって、ガラクタを買ったらそれに支払ったお金は丸々ムダになる。
「これいいな」と買ってきたはいいが、ちょっと使ってみたら思っていたほどのことはなく、結局そのままその辺にころがったままのモノが、どこの家にも一個や二個はあるだろう。
ガラクタというのは結局、そう言うもののことなのである。
ガラクタをまた別の何かの用途に使うために買う人間もいるだろうが、しかしそれはガラクタがガラクタであることをしっかり把握していて、買う時もガラクタだと承知しガラクタとしての値段で買っている。
しかし貧乏人はそうではない。
ガラクタを買っているという意識がなく、平気でガラクタに大金を投じる。
長年かかって貯めた金であっても、借金しまくって集めた金でも、平気でそう言うモノを買う。
ボクのようなヤモメであれば、ガラクタに大金を支払ってもそれは自分一人の問題ですむが、家族を持つ人間がそういうことをし出せば、他の者にもその影響が及ぶ。
ウチのように父親がギャンブルで大金をスッたり、母親がわけのわからぬ宗教の、二束三文の価値しかないツボなどを、何百万もだして喜んで買ったりすると、直ちに生活に跳ね返る。
子供を学校にやる金がなくなったり、借金が返せなくなったり、育ち盛りの子供に満足にメシも食わせられなくなったり…。
それが原因で一家離散、家庭がぶっつぶれるなんて貧乏人の家によくある話である。
しかしガラクタを買った張本人にはそれがわからない。
なんせガラクタだとわかっていないから。
そしてそういうガラクタが大好きだから。
そうやって貧乏人は貧乏になり、さらに家族や周囲の者を巻き込んで、どんどん不幸を拡大していくわけである。
(第7章・おわり)