節約のコツは、お金を遣うこと
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必需品というのを定義するとすると、「それが欠けると精神や肉体の安定が維持出来なくなるような、そういうモノ全て」というのが現在のボクの定義である。
そしてそれは人によっても時代によっても、社会によっても中身が違う個人文化のようなもので、普通に考えるよりもずっと広範囲で多岐にわたり、娯楽や快楽なども必需品に入るのである。
だからもし何年も何十年も、毎日の出費を抑えたり節約しつづけたりしようとするなら、外見上は必需品に見えないが、実はそれなくしては生活を安定的に営めないような、真の必需品を削らないようにしなければならない。
そうしなければ無理なダイエットをするのと同じように反動がきて、何日か何ヵ月か何年か後には必ず失敗に終わり、せっかく積み上げた苦労は水の泡と消えてしまうのだ。
誤って削ってしまった時間や金銭の何倍もの時間と金銭が、その反動や歪みとなって後日爆発し、ギャンブルに走ったりサギ組織の餌食になったりしてしまうのだ。
結局お金を節約しようと思ったら、「家計簿に載っている品目の量や質を、減らしたり落としたりすることはなるべく避けて、同じ量と質のものを安く買うのが一番堅い節約方法」なのである。
そしてもうひとつ付け加えると「健康を保てれば、さらに少し出費を減らすことができる」というのも重要な事実である。
例の主婦のやり方を参考にするならば、「スーパーなどでいつも買っている商品を、底値で必ず買う」「かならず割安なお徳用を、安い時にちゃんと買う」ということになる。
わざわざノートを買ってきて、毎日几帳面に家計簿をつけたりすると、いっぺんにあれもこれもとたくさんの情報を、処理しなければならなくなり続かないから、とりあえずは広告やチラシを切り抜いてどんどんノートに張り付けたり、その日にした一番いい買い物の品名と値段を、手帳やカレンダーに書き込むのが手っ取り早いかも知れない。
最初はそうやって数種類の商品だけに的を絞って底値を知り、売り出しパターンを大ざっぱにつかむのがいい。
面倒なのはそういうクセを、自分で自分につけさせることができるかどうかで、最初から全部やろうと思わないことが、成功の秘訣なんだろうと思う。
肉体を鍛えようと思ってバーベルやダンベルをたくさん買い集め、アレもコレもとよくばったメニューを作成してトレーニングを始めてみても、結局いつのまにか面倒になってやめてしまうのがオチである。
そういう時には腹筋運動だけとかダンベルカールだけとかいった、たった一つのメニューだけを、例え雨が降ろうとも風邪をひこうとも、必ず毎日やるという方がよく続くものだ。
そしてそうやって安くモノを買うことを覚えると、今度は平気で高い買い物などできなくなってくるから不思議である。
同じ商品が別のスーパーでは二割も安く買えるとか、少し待てば安く買えるのだと知ってしまうと、目の前の高い商品を買う手が止まるのである。
ボクは中学・高校のころはよく大阪の日本橋、(東京で言えば秋葉原のようなところ)によく遊びにいっていたが、一軒隣の電器屋さんにいくと、全く同じ商品が何千円も安く買えたり、交渉次第ではもっともっと安くオマケ付で買えたりするような場所に通いなれると、もうバカバカしくて街の電器屋さんの高い商品は買えなくなる。
そうしてお金を浮かせそしてその浮いたお金で、また安くモノを買うのが堪えられない。
ボクの場合は値切って浮いたお金で、吉野家の牛丼やなか卯の肉うどんをよく食ったものだが、それがものすごくおいしかった。
もちろん安く買ってその浮いた分を必ず貯金せよ、と言う人もあるだろう。
がとりあえずはそんなことしないほうが、いいんじゃないかと思う。
そんな貯金が簡単にできるくらいなら、貧乏人は貧乏などしていない。
大事なのは出費を削ることではなく、同じお金でたくさんモノやサービスを買ってみることなのだ。
暮らしをそれで何割か豊かにし、そしてその良さを味わって、その方法を身につけることなのだ。
今日の生活を豊かにし、そして明日の生活も豊かにする、そう言う考え方を貧乏人はできない。
明日のためにと言って今日を我慢し、明後日のためにと明日も我慢する。
そうして窮屈な思いを家族に強いながら暮らすのが、貧乏人というものなのである。
だから貧乏人が貧乏から抜け出すためにはまずそういう考えを改めて、お金を遣う生活をしてみることが重要なのだ。
そうしてその過程でお金の使い方や、本当に節約すべきモノが何であるかを知ることができれば、何かのキッカケでまたケチケチした生活を始めなければならなくなったとしても、以前よりははるかに豊かな生活を送れるようになっているハズである。
しかし浮かせた分をケチケチ貯金するなら、一生お金の使い方などわからない。
そして毎日毎日我慢だらけの生活を続けて貯めた金は、いずれ何かの機会に吹っ飛んで消えて無くなるのがオチである。