貧乏人はガラクタしか知らない
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ボクはなぜか、レンタルビデオで、何度も同じビデオを意図せず借りてきてしまう。
新しいビデオを借りようとして借りてくるのに、帰って見てみると「あ、これ前に見た」という風に
なってしまうのである。
この原因は似たようなビデオがたくさんあって、どれを見たのかどれをまだ見ていないのかが区別できないからである。
しかし自分の趣味が実は、非常に限られた狭い範囲に偏っているということも大きな要因だろう。
ボクは、ジャッキーチェンなどの功夫映画ンだとか、スタートレックなどのSFシリーズ、ヤマトだとかマクロスだとかいうアニメーションぐらいにしか興味がない。
だからたとえレンタルビデオ屋さんに
何万本のソフトがあったとしても、ボクが借りる対象のビデオは、実はせいぜい百本もあるかないかないのである。
そしてその百本もない自分好みのソフトから、百回ビデオを借りるのであれば、同じビデオを誤って何度も借りてしまうという現象は何度でも起こりうる。
特定のキーワードでソフトを捜せば、タイトル数はせいぜい数十本だし、その中から自分好みの女性を厳選すれば、さらにその数は減る。
だから熱心に捜せば捜すほど、昔借りて見たソフトに突き当たってしまうのだろう。
だから趣味を変えるか店を変えない限り、同じ事は何度も起こる。
がしかしボクはそういうモノが好きなのだから仕方ない。
そしてこれは恐らく貧乏人が、ガラクタばかりつかんでしまうという現象と同じだろう。
つまり貧乏人がガラクタばかりつかんでしまう原因は、以前にガラクタをつかんだ事を覚えていないからであり、そしてまたガラクタが好きなせいだと思うのだ。
高級なしっかりしたモノというのはやはりそれなりに、結構な値段がついている。
しかしそれはそれなりに重宝するし寿命も長い。
一方貧乏人というのは、それより二ランクも三ランクも低いモノを買っている。
そんな値段ではなかなか良い品物はできない事が多いから、どんなに良さそうに見えても結局全部ガラクタである。
ガラクタばかりの箱に手を入れてクジを引けば、ガラクタしか引けないのは当たり前の話である。
裕福な人間は一度ガラクタをつかんで損をしたと思ったら、二度とそんなところでは物は買わないが、貧乏人は忘れっぽいしガラクタに慣れている。
ガラクタをつかんだ事などすぐ忘れてしまうし、それがガラクタである事すら分かっていない事も多い。
だからボクが
「今日は絶対新しいのを観るぞーっ!」などと意気込んで、慎重に慎重にビデオを選べば選ぶほど、何ヵ月か前にもうすでに充分に楽しんでしまった、ハズレのテープを捜し出してしまのだ。
それと同じように貧乏人も一生懸命に選べば選ぶほど、また以前と同じようなガラクタをつかんでしまうのである。
今度こそはガラクタをつかむまいとして、懸命になって苦労してアタリを捜しているというのに、そうやって懸命になればなるほどまた同じハズレを引いてしまう。
ガラクタばかりの箱をひっくり返して一生懸命に捜してみても、ガラクタしかないのだからそれは当たり前である。
「貧乏人のパラドックス(矛盾)」とでも言うべきか。