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余裕とは、物理的概念である

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貧乏人は余裕のコントロールができない。

 

ではその余裕とは一体何か。

 

人によっては「余分」だとか、「余り」だと答えるかも知れないが、それは違う。

 

余裕とは余分などでは決してない。

 

たとえば道を歩く時を考えてみる。

 

我々は歩く時普通足の裏しか地面に付けない。

 

だから理屈上は歩く時、靴の幅ほどの道しか必要としないはずである。

 

つまり我々は電車が二本の十センチメートル幅のレール上を走るように、平均台のような道で充分ちゃんと歩けるはずなのである。

 

しかしそれは電車にとっては問題なくても、人間にとっては苦痛である。

 

第一に道から落ちたり転ばないように、絶えず気を配っておかねばならないし、いつもいつも同じ幅同じコースの道を歩くのも退屈だ。

 

向こうからやって来る人間とも正面から向き合わねばならないし、たまには走ったり寝転がったり転んだりもしてみたい。

 

たかだか歩くだけなのに、そんな努力や気疲れなどしたくない。

 

だから人は必要もないのに余分な広い道を作り、さらに見栄えまできれいにする。

 

この一見余分だとか不必要なモノが「余裕」なのである。

 

つまり余裕とはそういう物理的・心理的・生理的な原因で、必要とされる余分のことなのであり、だから余裕がないと人間は肉体的にも精神的にも疲れることになるのだ。

 

そして余裕は物理的に考えるともっとスッキリ理解できる。

 

世間には余裕を理解していない人が結構いるが、それはこれが非常に物理的な概念だからかもしれない。

 

たとえばボクは四年半ほどス、ーパーでアルバイトしていた経験があるが、余裕のわからない人間が世の中にいかに多いことか。

 

物を並べるにしてもすぐ、全部ギュウギュウ詰めに並べてしまおうとするヤツが必ずいる。

 

商品を在庫するにしても品物を、とにかく何でもかんでも積み上げてしまおうとするヤツがいる。

 

年齢に関係なくそういう人間が必ずいる。

 

スーパーでは物を売るために、商品を仕入れたり並べたりしているのだから、その商品は必ず動く必ず減る。

 

だから物を並べたりストックしたりする場合必ず、それを翌日動かさねばならないのだと言うことを考え、動かしやすく積んだほうが効率的である。

 

効率や安全を考えると重くて数の多いものは下に、数が少ないものや軽いものは上に積まねばならない。

 

そうしないとたった一つの品を取るために、フウフウ言って重い物をたくさんどける羽目になったり、一つ商品を入れ替えるのに、台の上の商品全て動かす事になったりする。

 

なのにたいていの人がすぐギュウギュウに詰めて、ものを動かしにくくする。

 

四×四マスの数字を並べ変える「十五ゲーム」というのがあるが、ああいう風にどこか一マス空けて余裕を作っておけば、モノを置いておくにも並べ変えるにも便利なのだが、どういう訳かたいていの人はすぐギュウギュウ詰めにし、決して余裕を作って置こうとはしない。

 

そしてまた隙間があれば、すぐにそこを使おうとする人間はもっと多い。

 

そういう人間は空いているように見える場所があれば、すぐそこを使おうとする。

 

お客の多い日曜の夕方だというのに、お買物の奥様方は通路の真ん中で世間話をしている。

 

パートのオバチャン達はなぜか、十字路の真ん中で日報を書いている。

 

間口運送の社員は大量の商品を搬入したり、売場に出したりしなければならないのに、平気で通路にモノを置いて商品を動かす障害を増やす。

 

確かに十字路やT字路の真ん中は、見通しがいいから広く見える。

 

しかしそこは二つの路が重なりあっている場所なのだから、物理的に考えると路の広さは見掛けの半分しかないのだ。

 

だから交差点ではわざわざ信号機をつけて、時間を区切って道を使うわけなのであるが、人間は空間が広く空いていると「余っているモノ」だと思って、ぐに使おうとするものらしい。

 

そしてまた首を締められたら、息が詰まって苦しいことはよく知っていても、通路を閉じたら仕事が進まなくなるということも、なかなか理解できないことらしい。

 

通路というのは物を運んだり人が通ったりするために、「わざわざ広く空けてある空間」なのである。

 

そして交差点などはモノや車が曲がるから、さらに広くスペースを取ってあるのである。

 

だから何がなんでも通路や交差点は、空いた状態で確保しておかなければならないのであるが、どういう訳だかそういう事をたいていの人間が意識していない。

 

言ってもその重要性がわかる人もなかなかいない。

 

それで「邪魔だ邪魔だ」とか「忙しい忙しい」と言っている。

 

自分で余裕を削っておいて、そんなことを言われてもと言う感じである。

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