かわいい女のコというのは、本当にかわいい
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夏前の少し遠慮がちな強い朝の陽が射す学校の、人影まばらな廊下でボクは彼女と逢った。
授業の始まるまでの、数十分間という限られた時間であったが、彼女と二人きりで逢い、そしてボクは思い残すことのないように、彼女に自分の気持ちを全てぶちまけた。
もちろんそれは彼女を彼氏から奪うためではなく、ただ彼女と話してみたかっただけであった。
そうして小一時間ほど彼女と話をしている間にボクは、その娘が今付き合っている彼氏のことを、かなり以前からずっと好きだったとか、だからたくさんの男性から交際しようと、プロポーズされたのだけど全部断っちゃったとか、そういう話を聞き出した。
そしてこの前のバレンタイン・デーに思いきって、今つきあっている彼氏にチョコレートを手渡して、「つきあってくださいっっ!」と言ったのがキッカケで、交際が始まったのだとかなどなど聞き出した。
ボクはどういうわけかそうしてたった一時間、彼女と話せただけで満足した。
そして彼女から「前からずっと好きなヒトがいたから、たくさんの男のコから付き合ってって言われてたんだけど、みんな断っちゃってたの。
エヘヘッ」と打ち明けられた時にはボクはもう、ただの彼女の親衛隊になり下がり、そしてあろうことかボクはいつのまにか、彼女の保護者か家来であるかのような気分にさえなっていた。
カワイイ女のコと言うのはそんな、振った相手にも彼女の幸福を願わせずにはおけないような、とんでもない魅力を持った女のコだったのである。
男からみると女のコは誰でも
多少はそういうカワイイ魅力を
持ち合わせているように思うけれど、しかしカワイイ女のコと言うのは、それ以上の強い衝動を男性におこさせる何かを持っているようだ。
「カワイイところ「も」ある」ではなく、文句なしに全て「カワイイ!」のである。
だから皆かわいい女のコには魅了される。
だから皆かわいい女のコに惚れる。
ラグビーだとかアメフトなどをやっているようなタクマシイ連中からはもちろん、軽音楽部や写真部などのような、軟弱っぽいヤツらからも再三再四プロポーズを受け、そして愛される。
たった一人の男からも言い寄られた事のない、不遇な女のコ達にしてみれば
「何であのコばかりモテるのよっ!」とか、「何であのコばかりチヤホヤされるのよっ!」
と言うことになるのだろうが、しかしカワイイものはカワイイのだ。
理屈なんかじゃない。
「カワイイ女のコ」は理屈を越えた強い衝動を、男に引き起こさせる何かを持っている。
それが本人のために良いかどうかはわからないが、とにかくかわいい女のコと言うのはそういう女のコなのである。
そしてまたどういうわけだかボクが好きになる女のコというのは、たいていみんなそんなタイプの女のコたちばかりであった。