第5章 お金を使う知恵・お金を使う資格記事一覧

あれはもう何年前の事だっただろうか、ボクはテレビである興味深い番組を見た。その番組とは、世間からケチと呼ばれている人たちを取材し、そのケチぶりを紹介するというもので、ナビゲーターは確か逸見政孝さんだったから、もう十年以上も前の話になる。ガラクタを山ほど拾ってきて、直して使っているオジサンとか、パンの耳で様々なオヤツをつくって、子供のオヤツ代を節約しているお母さんとか、そういった人たちをどんどん紹介...

だがしかし社長の次に紹介されたケチは、もっともっと暗かった。そしてもっともっと貧乏くさかった。というのもその次に紹介されたのは、風呂の水を一年間全く替えないで、何万円かを節約しているという、小太りのおばさんだったからである。そのオバサンは自宅の風呂場に立ち、そして「もう何年もお水を替えてないんですよ」と言って、不気味に微笑んでいた。テレビに映ったその風呂の湯は赤茶けていて、どうにもこうにも表現しが...

「それにだいたいユーメージンがあるじゃない」と、彼女がそう言った。「ユーメージン?」「二十四時間お風呂に入れる機械よ。一年中お湯を替えないで、お風呂を炊いたままにしておくと、ランニングコストが安くつくんだって。ちょうど今ウチでそれ買おうかどうかって、パパとママが話してるんだけど」「ふーん」。話によるとその二十四時間入浴できる、『湯名人』というシステムは、住み込みなどの従業員の多い家族経営の会社や、...

世間でなぜケチが嫌われるのか、なぜ「ケチ!」が悪口になったり、罵りになったりするのか、この番組を見てボクはなんとなく分かったような気がした。つまりケチというのは、何も生産しない行為なのである。そしてケチは消費も減らすから、需要つまり他人の仕事も減らしてしまうのである。そしてその上ケチは、あろうことか他人に自分の価値観を押しつけ、周囲の雰囲気までも暗くしてしまうのである。豊かさや楽しさそして快適さを...

この主婦を買物の達人にしたのは、たった一冊のノートであった。彼女はそのノートにいつも買う商品の値段をつけ、そしてその最安値と売りだし日を時系列的にしっかり記録していた。そうしてそれより値段が安ければためらわずにそれを買い、それよりも値段が高ければ絶対に買わない。そういう方法で恐らく他人の三割以上もモノを安く買い、そして思いのままに自らの生活を豊かにしていた。だがしかし考えてみれば、たったそれだけな...

「データを集めるってことは大事やで。だってそれで自分が良い買い物をしているかどうか、いつもチェックできるってことやし。それができなきゃ進歩もないし倹約もできない。具体的な数字なら言い訳もできないし」。「それは確かにそうやけど。でもそんなにしてこの人、よくまあ欲求不満になんないわねぇ。あたしがそんな細かいこと考えだしたら、あっというまに胃に穴あいちゃうのに」。「だからボクが関心しているのはそこのとこ...